2020/01/28 23:42

作品制作に全力で打ち込んで、新しい表現方法を身に着けて、とても良い作品ができたとき。

きっとすごく満足することでしょう。

それが大学での制作であれ、賞や展覧会への出品であれ、「よい作品をつくる」ということは芸術家にとって最も大切なことであることに間違いはありません。

ただし、それで終わりでしょうか。

キャプションの素材は?
制作意図の説明は?
額装は?
展示方法は?

作品ができた後にも考えなければいけないことは、たくさんありますよね。
そして場合によっては、そういったことが作品の本質にも影響を与えることがあるものです。
(おそらく、制作中や完成時に感じた作品の印象と、展示された作品をみて「あれ?」と感じたことのある人も多いのではないでしょうか。)

作品制作は、構想から撤収まで、すべてまとめて「作品制作」だということができるくらい、長いレースなのではないでしょうか。

長いレースであれば、当然スタートからゴールまで全力疾走することはできません。注力しなければならない区間はあるものの、準備体操にも手を抜かないのがポイントです。

作品制作においても、ぜひ「力の配分=バランス」を考えてみてほしいと思います。
つい制作に集中しすぎて、講評で答えることを考えていない…作品発送の梱包がテキトーだった…額装の予算がない…
こういった「あるある」を防ぐことで、より高みに登ることができるのではないでしょうか。

ただし、小手先になるのは禁物です。

細部にこだわるのがプロですが、小細工で本質をごまかそうとすると、どうしても限界が見えてしまいます。
あくまでも「良い作品」があり、それを「より良い作品」にするため、バランスを考えてみていただければと思います。

次回のblogでは、『作品を販売するときのコンセプト付け』についてお話いたします。
より良い作品にするための参考にしていただければ幸甚です。